みんなに知ってほしい
このページではバーコードの基本的なことをお話的に進めて参ります。
出来るだけ専門用語は避けますが、もし分からない言葉が出てきたら、青色になっているその言葉をクリックして下さい。用語事典のその言葉ににリンクします。
■バーコードって何?
バーコードはキーボードに代わってコンピュータに数字やアルファベットを入力する手段です。
キーボードを叩かなくても、バーコードをなぞる(スキャンする)だけで、数字やアルファベットなどがコンピュータに直接入力されるのです。
太いバーと細いバーの組合せ(バイナリィレベル)や、黒いバーの幅とその間の白い部分(スペース)の幅の組合せ(マルチレベル)などが暗号のようになっていて、これを読み取り機(スキャナー)が解読(デコード)してコンピュータに送って入力するのです。
(この組合せについてはバーコードの種類のページをご覧下さい)
■バーコードのメリットは何?
バーコードは原則として印刷されていたり、パソコンのプリンタで打ち出されますから、バーコード自身には文字を書くような上手・下手がなく、またクセもありませんから、手書きの文字のように間違って読むことがありません。
また汚れや欠けなどがあったために間違えて読んでしまっても、たいていのバーコードにはチェックデジットという誤読防止のための番号がついていますから、間違えて読んでもそのデータはコンピュータに入力されないようになっています。
ですから極端に言えば、文字が読めない人(外国人や子供など)にでも読み取ってコンピュータに入力する操作が出来るのです。
また手書きの伝票や値札などと競争の出来ない超スピード(例えばスーパーのポスレジスターは1秒間に5000回)で読み取りますから、目で見てコンピュータにキーボードを叩いて入力するのとは早さが格段に違います。
■自動認識の種類とバーコードの特長
このようにキーボードを叩かずにコンピュータに入力する方法を『自動認識』と呼びます。
自動認識には磁気で判別するキャッシュカード・プリペイドカード・電車の切符や、離れたところからの電波の問いかけに答える『RF−ID』などいろいろの方法がありますが、その中でもバーコードは大量に一度に印刷できるなど、最も安上がりで、しかも確実な自動認識の方法といえます。
最近は大きなデータを収容できる二次元コードなどがもてはやされていますが、まだまだ特許の使用権の問題や関連機器の普及の問題などで、一般に広く普及するところまではいっていません。
その点バーコードは長い歴史の中で特許も公開されていて、関連する機器も豊富で、誰にでも使え、しかも全世界共通の規格になっていますから、最もポピュラーな自動認識の方法と言えるでしょう。
■商品のバーコードの発祥は?
皆さんが毎日目にする商品に付いているバーコードはどのような経過から出来たのでしょうか。
アメリカはお隣へ行くにも車か飛行機を使うぐらい広い国ですから、食料品なども週に一回ぐらいに纏めて買って、大型の冷蔵庫にストックする、と言う生活習慣があります。そこで当然日本のスーパーのような大型集合小売店が発達してきました。
ところが、日常生活ではヤード・ポンド法の8進数、6進数を利用しているアメリカでは、これだけが10進数のドル・セントの計算や消費税の計算に手間取り、レジスターに長蛇の列が出来るという不便が起こって、折角の大型小売店がその機能を発揮できないという状況になってきました。
この長蛇の列を解消しようと、商品にその価格に見合った重さのメタルを付けて一括して金額を計算するなど、いろいろの解決法が工夫されましたが、なかなか実用には至りませんでした。
そのような情勢の中で、ちょうどコンピュータが実用化の時期を迎えていた1967年に、大手の大型小売店チェーンのクロガーが、商品にバーコードを付けてコンピュータに入力する方法を実用化して、これを解決しようとしたのが商品のバーコードの始まりです。
■その後の商品のバーコードの発展
このようにしてバーコードが実用化されましたが、これを全米に普及させるためには商品全部に統一した約束で番号を付けなくてはなりません。そこで米国フードチェーン協会などが中心になって1973年に一般商品コード『UPC』を制定しました。
アメリカと同じ悩みを持つヨーロッパではこのUPCの成功に目を付け、1977年にイギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパ各国共通の商品コード『EAN』を制定し、1978年には日本もこれに加盟しました。
世界各国の加盟の明細は『フラグ』をご覧下さい。中にはスーパーなどと関係ないような発展途上国もありますが、それらの国でも産物を輸出しようとするとバーコードが必要なのです。
■統一商品コードとバーコードについて
ちょうど名字と名前のように、全部の商品に全て異なった番号を付けるのが『統一商品コード』です。
日本の山田家の花子さん、というように、統一商品コードは国番号(フラグ)2または3桁、メーカーの番号(メーカーコード)5桁または7桁、品物の番号(アイテムコード)5桁または3桁、間違い防止の番号(チェックデジット)1桁で出来ていて、全ての商品に異なった番号を付けることになっています。
この番号をコンピュータで読めるバーコードの形にしたのがUPC(アメリカ・カナダ)、EAN(ヨーロッパ始め全世界)シンボルです。呼び方は国によって違いますが、日本ではJANシンボル、韓国ではKANシンボルなどと呼びます。
■大型小売店(スーパーなど)でのバーコードの使われ方
大型小売店でのバーコードの使われ方を順を追ってみてみましょう。
●ソースマーキングされた商品
ソースマーキングというのは一般に量産される商品に生産段階(ソース=生産時点)でバーコードを印刷したり貼り付ける(マーキング)ことです。
まず段ボールケースに入った商品が入荷します。この段ボールケースには物流用の『標準物流シンボル(ITF)』という、中の商品の番号と入っている数を表したバーコードが印刷されています。これを読み取って、何時、何という商品が、何個入荷したか、ということがコンピュータに入力されます。
これと同時に、この商品の出荷元、仕入れ値段を入力すると、その出荷元に何時、いくら支払わねばならないというようなことがコンピュータに入力されます。
次にその商品の売値を入力します。よく『バーコードに値段が入っているのですか』と聞かれますが、バーコードにはその商品の番号だけが入っているのです。
同じ番号の商品でもそれを売る店によって違う値段を付けますから、値段はこの時にお店のコンピュータにお店の儲けに従って自由に入力するのです。また特売日だけ安くしたり、タイムサービスなどといってある時間だけ安くしたりするのも、この時にコンピュータに入力しておけばよいわけです。
このように、広く流通する商品で、レジスタを通したときにコンピュータに値段(Price)を問い合わせる(Look Up)する商品を『PLU』商品といいます。
さてお客が買い物をしてレジスタを通すと、コンピュータはその値段をレジスタに送り返すと同時に売上を記録し、その商品の在庫がその時間に一つ減ったことも自動的に記録します。
こうしたデータからコンピュータはその商品の売れ具合、例えば給料日の後によく売れるとか、雨の日の夕方によく売れるとか、いろんな売れ筋の分析もしています。
さてその商品がよく売れて在庫が少なくなるとその商品の補充が必要になりますから、コンピュータが自動的に補充の発注をして品切れがないように手配します。
●インストア・マーキングされた商品
生鮮三品といわれるお肉や野菜、お魚といったものにはその店毎で別のバーコードが付けられます。これらの商品は一つ一つ重さが違いますから、計量秤に100グラムいくらと入力し、ひとつひとつ秤に乗せると、その品名とその重さにあった値段を表したバーコードがプリントされ、これをその一つ一つに貼り付けます。
インストア・マーキングとは、店の中で、或いは特定の流通ルートの中だけで通用するバーコードを付けられるバーコードのことをいいます。
このように一つ一つ値段の違うものや、刺身や寿司、惣菜などそのお店で作ったものなどは、値段まで入ったバーコードを付けます。これらはその値段をコンピュータに問い合わせませんから、『NON−PLU』商品といいます。
これらのNON−PLU商品の売れ方の動向もコンピュータに全て記憶されますから、このデータを分析して、例えば刺身が乾いてしまわぬためには何分ごとに補充するとか、寿司は何時から何分ごとに陳列に出すのがよいとか、売り方の工夫が出来るのです。
●バーコードの仕入れ戦略・販売戦略への活用
商品を陳列する棚によってよく売れるとか、また何と並べればどちらもよく売れるとか、レジでバーコードを読み取るだけでコンピュータに入ったデータを分析するといろいろな売り方の工夫が出来ます。
このように、商品に付けたバーコードが商品の仕入れ戦略から販売戦略まで、また売上管理から仕入れ管理まで全ての面で活躍しているのです。
■販売戦略・生産計画に役立つJICFS
このようにして各小売店がバーコードを読み取るだけで日々に集められた販売のデータは、商品のバーコードの元締めとも言える流通コードセンターに集められてJICFSというサービスになり、各メーカーや小売店に還元されます。
このJICFSを利用すれば、小売店にとっては全国の、またはその地域の売れ筋、死に筋の商品が一目で分かり、仕入れ商品を選択するのに大きく役立ちます。
またメーカーでは、自社の商品がどのくらい売れているか、また同種類の商品の何パーセントを占めているかということなどが分かって、新商品の開発の参考になり、成績が悪いときはその対策を考えることが出来ます。
※下記の Data Service のホームページにリンクしてみて下さい。これはごく一部のデータですが、日々の商品の売り上げデータを知ることができます。バーコードはこのように役立てられているのです。 http://www.mdbc.co.jp/dc_menu2.cfm?mcd=&pw=
■物流段階で活躍するバーコード
メーカーから出荷された商品は通常段ボールケースに詰められて、商社や卸店の物流倉庫→大型小売店などの物流センター→各店舗へと流れて行きます。
この間に、この段ボールケースに印刷されたバーコード(標準物流シンボル=ITF)が読み取られて流れて行きます。
(1) メーカーでは注文が入ると注文があった番号の商品をおいてあるところからそのバーコードのついた商品を取り出して出荷します。この際自動的に売上、請求の処理もされます。
(2) 配送するドライバーは積み込まれた商品のバーコードを読み取り、指示されたところ(倉庫など)に商品を配送し、これを荷下ろしするときにバーコードを読み取って倉庫などにバトンタッチします。
(3) 物流倉庫や物流センターなどでは、コンベアーなどを使ってこの商品をきめられた場所に保管して、小売店舗などからの注文があればその商品をピッキングして発送します。
(1)・(2)・(3)の各段階では、手書きの伝票などを発行しなくても、バーコードを読み取ったコンピュータが入・出庫管理から在庫管理まで自動的に処理が行いますから、それぞれのドライバーや倉庫の係員も面倒な伝票処理から開放され、また商品や商品の配達先などの間違いも防止できます。
■製造工場でも活躍するバーコード
商品を製造する工場でもバーコードが活躍しています。
先の標準物流シンボルの他に、商品の品番、型番、色番などを表示したバーコードを付けておけば、原材料から製品までの段階で、在庫管理、入出荷管理はもとより、生産管理、原材料の仕入れ管理などにも役立てることが出来ます。
以上は商品に付いている誰でもおなじみのバーコードについて簡単に説明しましたが、商品についているバーコード以外のバーコードが、誰でも知っているところで、思わぬ大活躍をしている例をご紹介しましょう。
■預金通帳を開いてみて下さい
銀行の通帳は誰でも一冊は持っているはずです。銀行の機械でお金を引き出すときに間違ったページを開いて入れると、『正しいページを開いて下さい』と無礼にも突き返されます。(銀行員がしなければならない仕事をお客にさせて突き返す、というのは無礼ですね)
この間違ったページを見分けるのが、通帳のページの普通左上に印刷されたバーコードなのです。お気づきでしたか?
■見えないけれども大活躍しているバーコード
真っ暗なところで紫外線のブラックライトでないと見えませんが、あなたに配達された葉書や封筒には、断りもなくバーコードが印字されています。
あなたが郵便物を出すと、これを集めた集配局ではこれに書かれた7桁の郵便番号と宛先を機械が読み取って、市町村名から何番地何号までをカスタマバーコードというバーコードに直して高速でプリントします。
自動仕分け機はこのバーコードを読み取って受取人の郵便局別に仕分けてそれぞれの局に発送します。
これを受け取った受取人側の集配局では、郵便配達職員の配達管轄別に、そして何々町何番何号というように自転車やバイクなどで配達しやすい順番に仕分けして揃えているのです。
このバーコードが目で見えるのは、例えば電話料金やクレジットの請求書などのように一度に大量に差し出される郵便物の宛名の下に印字されているもので、これを印字しておくと郵便料金が安くなるのです。
■宅配便のバーコード
指定した時間通りに配達されるので好評の宅配便がよく利用されます。ここでヤマト運輸の宅急便でのバーコードの使われ方を例に取ってみましょう。
集荷の際にドライバーはその伝票のバーコードを端末機で読み取り、行き先の営業所のコードをテンキーで入力して、その端末機からこのコードをバーコードシールでプリントして荷物に貼り付けます。
営業所に帰ったドライバーがこのデータをコンピュータに転送すると、この荷物の受取時間と行き先などが入力されます。
この荷物が集荷した地域のターミナルに到着するとそのバーコードを読み取って行き先別に仕分けされてトラックに積み込まれます。この時に積み込まれた時間と共に荷物のデータがコンピュータに入力されます。
配達先のターミナルに荷物が到着すると、到着時刻と荷物のデータが入力され、ドライバーが営業所からその荷物を配達に持ち出した際にもこれらのデータが入力され、配達完了時にも端末機にバーコードで入力されます。
このように要所々々で伝票に印刷されたバーコードが読み取られて行きます。
こうして読み取られた荷物に関するデータは刻々とコンピュータに入力されて行きますから、遅配などの問い合わせにすぐ対処でき、またお客がヤマトのホームページで問い合わせ番号を入力すると、瞬時にその荷物が配達完了かどうか、またはどこにあるかなどの情報を引き出すことが出来ます。
■あるある!! バーコード
皆さんのごく身近に、見える形、見えない形のバーコードがたくさんあります。左の写真はごく普通に使う写真のフイルムですが、左から商品のバーコード、カメラがフイルムの感度を自動的に読み取るバーコード、現像の管理に使うバーコードと、3つのバーコードが入っています。